2022年 注文住宅営業がやってはいけない2つの言動

注文住宅営業の手法はお客様の変化に合わせて日々進化していきます。
従来の営業手法では王道であった2つの言動が2022年の今はやってはいけない言動に変わっています。

Contents

「フリープランですから」は禁句

注文住宅だからお客様のしたいことが実現できる『フリープラン』はセールスポイントの一つとして使われてきたワードですが、今は禁句になっています。

お客様が検討する会社が絞られている

『フリープラン』が禁句となった原因として、コロナの影響もあります。
従来はじっくり時間を掛けて何社もプランを検討していましたが、そもそも検討する会社数が減っています。
※総合住宅展示場来場時に3.5社程度観て回っていたのが1.3社程度

お客様は、検討する住宅会社を絞り込む為に、以前よりも情報収集を徹底されています。
ホームページやSNSなどで調べる際に、『フリープラン』を売りにしていると何が手に入るかはお客様に見えません。

何が手に入るかわからなければ設計力勝負までたどりつかない

初来場時など、接客初期段階でもお客様に何が手に入るのか、お客様にとって魅力が伝わらなければ候補の中に残れません。
過去のプランなどをお見せしても、図面を見て良いプランだと理解できるお客様はいらっしゃいません。
『フリープラン』での設計力はパッと見てお客様に伝わりにくい内容なのです。

自社の設計力を強みにした『フリープラン』で競合の中から勝ち抜くという勝ちパターンでは、そもそも土俵に上がれない可能性が高くなってしまいました。

『自社住宅特徴の売り込み』はNG

自社住宅特徴を説明してご理解いただき納得してご契約いただき、それ以外の方は受注できなくても致しかたない、という考え方では今後は受注目標の達成は難しいと思います。これは潤沢な集客がある場合に限って有効な営業の手法ですが、集客が今後減少することが予想されている今は取るべき手法ではありません。

自社住宅特徴とお客様の好みが合えばいいが

自社住宅特徴にマッチする方と出会えればいいですが、集客数が限られている中では自社特徴とマッチするか、しないのかの確率で営業していては受注数が不足します。

自社特徴に合わない方には『フリープラン』なのでと言うのか?

ご案内している中で共感いただけない自社特徴が出てきた場合に、「注文住宅なので『フリープラン』ですから」と前述のようにお客様は何が手に入るのかが見えなくなります。

何をすればお客様に選んでいただけるのか

『フリープラン』はお客様の検討候補に入りづらいのでダメ、だからといって『自社特徴の売り込み』もお客様を選ぶことになりダメ。
ではどうすればお客様に選んでいただけるのか。

どんな暮らしが手に入るのかが見える

お客様にとって何が手に入るのか。お客様が想像しやすい『暮らし』をお見せして、新居での個々のお客様にとって、『楽しい暮らし』、『あこがれの暮らし』が手に入ることをお見せします。
そうしたお客様に「新しい暮らしで実現したいコト」をお客様の暮らしを中心に置いてご案内することで、検討していただく候補に入ることができます。

お客様の暮らしにフィットした住まいの実演

お客様に「やってみたい暮らし」をみてご来場いただいたお客様に実際に暮らしを体感体験していただき良さを実感していただきます。
しかし、お客様毎に異なる価値観や暮らし方をお持ちですので全てがジャストフィットすることはありません。

実際お客様が暮らされる場合はどのようにされたいのか、ご来場いただいたモデルハウスや見学会会場とお客様の実現したい暮らし方の差を理解し、お客様に合った住まいと暮らし方を実演します。

例えば、お客様が望まれる『緑に囲まれた暮らし』をお見せする場合、室内にグリーンを配置して楽しみたいのか、お庭を室内から見て楽しみたいのか、お庭に出て楽しみたいのか。
奥様がお庭にテーブルセットを置いてお友達とティータイムを楽しみたいと思われており、日差しを気にされているので屋根付きの中庭をご用意するのか等を確認しながらご案内します。
ご主人は、ご家族や友人家族も招待してバーベキューを楽しみたいと思っておられるので、大人数にも対応できるように室内と中庭を大開口にしてフラットに繋がる場所にするようにされたいのかなど、実現したいコトの具体策をお客様と共有化します。

お客様がご来場された場所で、お客様ご自身が実現したい暮らしを組みたたいくことで、お客様の理想の暮らしへ向けて、具体化し何が手に入れられるのかを明確にイメージしていただき、共有化します。

お客様の暮らしに最適な自社の強みの組み合わせ

自社住宅特徴の全てをご説明してお客様のお住いにご採用いただくことはお客様を選ぶことになりますが、上記のようにお客様ご自身の暮らしにフィットしたお住いを実現するために自社住宅の強みとして役立つことも含めて気づいていただきご理解を得るようにします。

屋根付きの中庭でティータイムを楽しむためには、キッチンからの動線を考えたプランニングが必要ですし、中庭と室内を大開口で繋ぐためには構造も温熱性能しっかりとしていなければ実現できません。

『お客様にフィットした暮らし』を実現するために自社の強みである性能や技術が必要になってくるということをお伝えできるとお客様にご納得していただけます。

まとめ

2022年 注文住宅営業がやってはいけない2つの言動とは、「フリープランですから」は禁句ということと『自社住宅特徴の売り込み』はNGだということです。

お客様の価値観や行動は変化し続けています。注文住宅営業において従来の成功パターンが今後も続くとは限りません。
変化したお客様に最適な営業活動を考え日々進化し続けることが必要です。

《執筆者》
株式会社ハウジングラボ
企業サポート事業部
取締役事業部長 松尾励朗

関連記事

住宅の価格アップ時代には「気づき共感営業」が強力な武器になる

住宅業界は30年振りの価格アップ時代に突入しました。「超低金利デフレ時代」が続きましたが、外的要因によって資源/資材のインフレへと急速に転じています。住宅価格アップ時代に適応させ、住宅事業を発展させる方策がこの春からは必 […]

「モノからコトへ」の住宅事業の新スタイル

景気は回復基調にありますが、目の前の集客が少ないとか、建設資材は上がり続けるとか、明暗が混ざった昨今の市況環境です。もう少し全体を俯瞰して考えてみると、自動車産業と同じように住宅産業も100年に一度の大変革期に差し掛かっ […]

「暮らし視点の住宅営業」は、大きな他社差別化になる!

今後の住宅市場は外形として捉えれば建築適齢期の人口減が進み、一方で空き家率は13.6%もあるという市場です。需要漸減化の「モノ」が余っている市場で「対価」を支払うだけの「魅力ある住宅」をお届けできるのかという課題が、住宅 […]

新着記事

【工務店・住宅会社のSNS集客のコツ】必要なのは、たった1つの要素

住宅建築適齢期の20~40代は、SNS世代です。利用されているSNSは、Instagram、Twitter、LINE、YouTube、TikTokなど多数存在し、住宅展示場や完成住宅見学会や相談会などへの集客には、SNS […]

ハウスメーカー・住宅会社・工務店集客数減少 → 受注棟数減少の解決策

住宅展示場協議会と住宅生産振興財団が発表した2024年2月の住宅展示場の来場者組数は、対前年同月比2.7%増の24万9423組とのことです。2024年1月の減少から増加へと転じましたが、様々な理由で、従来通りの集客数は見 […]

【住宅営業のコツ】値引きせずに新築住宅を受注するコツ

お客様から値引きを匂わされたら応じなければならないと思っていませんか。値引きしなくても受注出来る住宅営業のポイントをお伝えします。 「お客様の予算枠に金額を合せないと受注できない」「失注するくらいなら、多少値引きしてでも […]

初回プラン提示でお客様の納得を得るプレゼンテーション―②

初回のプラン提示でお客様にご納得いただく為のプレゼンテーションについて、前回は、何故お客様に初回のプラン提示でのプレゼンテーションがご納得いただきにくいのかについてと、お客様に伝わりやすいプレゼンテーション資料の見え方に […]

受注歩留まり率を高める住宅営業とは

「なかなか受注ができない」と日々あの手この手と対策を考えながら営業活動をしているかと思います。数多くのお客様に営業活動をして、その中から反応の良いお客様の受注を目指すのは、人口減少の時代には厳しい方法です。また、エンドユ […]

住宅営業の初回接客品質向上のポイント

住宅展示場や完成住まいの見学会などでの初回接客は、受注成否の80%に影響すると言われるほど重要です。住宅は、高額商品なため購入するかどうかの決定には慎重になるのが当然なうえ、物価上昇率に給与所得の上昇率が追いついていない […]