競合他社対策のポイント

世の中のデジタル化が飛躍的に進み、そして、コロナウィルスの感染を避けるために、お客様はネットで気になる住宅を調べ、住宅会社を選んでからご来場されるようになりました。この動きは定着しつつあります。従来のような、総合住宅展示場に「とりあえず」行ってみて、気に入ったモデルハウスを見る、もしくは、全てのモデルハウスを見て回るお客様は相当数減少したということです。
事前に住宅会社を絞り込んでからご来場されていますので、ご来場前にすでに競合他社と比較されていることになります。
今回は、競合他社と比較されているときの対応策について考えてみます。

Contents

競合他社対策とは

競合他社対策とは、自社を選んでいただくために自社住宅商品の強みを訴求することです。
例えば、競合がいようがいまいが、同じ方法/同じ伝え方/同じ内容で自社住宅特長を訴求することは、競合他社対策とは言えません。上記の方法も住宅営業は一生懸命営業活動をされていると思いますが、「一生懸命頑張れば結果は付いてくる」の確率がぐんと低くなります。この「一生懸命」の方法が競合他社対策のポイントです。

必ずやっておくべきこと

競合が必ずと言っていいほど存在し、事前に情報収集して絞り込んでご来場されるお客様には、競合他社とは異なる訴求をすることがポイントです。差別化です。差別化して受注につなげるための対応策は以下の通りです。

①競合他社・競合他社住宅商品を知る

自社とよく競合する住宅会社の住宅商品特長や住宅会社のサービスなどについて調べます。お客様ごとに気に入る部分は異なりますので、様々な部分の違いを確認します。

②自社を客観的に把握する

自社住宅商品やサービスの「アピールポイント」をお持ちだと思いますが、アピールポイントの内容や特長を様々な視点から徹底的に洗い出しておきます。例えば、住宅営業は「自然素材の家」がアピールポイントだと考えていても、お客様が気に入ったのは「他社よりも明るいリビング」だったりしますので、広い分野で自社の特長を把握しておくことをお勧めします。

③お客様を知る

お客様が比較している競合する住宅会社がどこなのかを知ることはもちろんですが、その会社の何を気に入っているのか、何を不安に思っているのかなどの「想い」を知ることも重要です。お客様の「想い」を知ることで、自社住宅のどのアピールポイントを訴求するか決められます。

④自社の弱みを知る

完全無欠な商品は存在しません。お客様が他社と比較されたときには、必ず何かしらの弱みになり得る部分が出てきます。この弱みを指摘されたときに、ムキになって自社住宅の良さを熱弁したとしてもご納得いただけない場合が多いものです。仮に、競合他社と比較して数値が低い部分について質問されたときには、反論や熱弁するのではなく、その数値にしている根拠と共に、お客様にご納得いただける情報提供が有効です。したがって、弱みとなり得る部分も把握しておく必要があります。

絶対にやってはいけないこと

お客様から気に入っている競合他社のことをお聞きした後に、その会社もしくは住宅商品を悪く言ったり、攻撃したりすることは絶対にしてはいけない事です。自社住宅商品の優位性をアピールしたい住宅営業の気持ちはわかりますが、お客様が気に入っているモノ/コトに対して否定的なことを言われていると思うのがお客様の心理だからです。自社の優位性をお伝えする場合は、「他社を貶めて自社を持ち上げる」のではなく、「他社をリスペクトした上で自社の良いところを伝える」方法でなければ、住宅営業の人間性も疑われかねません。

【参考記事】他社をけなさず褒める住宅営業がお客様から信頼される

まとめ

5月の総合住宅展示場での見て回り会社数が、全国平均で2社弱から4社弱までに回復しましたが、ゴールデンウィークの影響で来場組数が増加していることと、様々な市況の状況を踏まえると、以前のような来場されたお客様の中で「有力なお客様を選んで営業する」スタイルは難しくなると考えます。

お客様がご来場された時点で、競合他社が必ずと言っていいほど存在する現在、他社の情報を把握して差別化を図るという住宅営業戦略に活かすことは受注につながる重要なポイントとなります。自社・他社を知ることはもちろんですが、お客様の想いを知り、これに応えるることが受注への最重要ポイントです。

【参考記事】住宅展示場や見学会の少ない来場者から確実に受注する方法

《執筆者》
株式会社ハウジングラボ
営業企画課長 眞田 智子

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