土地なし客への対応方法

「希望の条件を満たす土地が見つからないので住まいづくりが進まない」などの、土地探しから始めるお客様への対応に難しさを感じている住宅営業の方は多いと思います。
お客様も住宅営業担当者も、土地探しには、エリアや大きさ、形状などに目が行き勝ちですが、ここにばかり意識が向くと、「提案できる土地がない」状況に陥ります。今回は、土地探しで立ち止まらずに住まいづくりを進める対応について考えてみます。

Contents

土地が決まらないのはなぜ?

駅/職場/商業施設までの距離などの立地、学校区、敷地面積、敷地と道路の関係と方位、価格など、お客様が求める土地の条件は様々ありますが、これらすべてを満たす土地は「無い」といっても過言ではありません。

「もっといい土地があるかも」に囚われている

住宅営業担当者が、お客様の希望される土地の条件に一番近い土地の良いところを一生懸命説明し終えてからのお客様の一言「もう少し条件に合う土地はない?」に応えようと、「ご要望に合う土地が出てきたら連絡します」と伝えて、再度土地探しに奔走するパターンも土地が決まらない原因です。

希望の土地が見つかるまで放置している

お客様が希望される土地の条件を不動産会社に投げかけ、見つかるまで何も動かずに放置している場合、当然のことながらこれ以上先には進みません。

強引に条件外の土地を提案する

お客様が希望される土地条件の理由を充分にお聴きせずに、「そんな土地無いよ・・・」という雰囲気丸出しで、「お客様の予算で家と土地を手に入れるならこの土地しかありませんよ。」などのように一方的に提案するのは、お客様は気分を害され、自社から離れて行きます。

土地要望への対応のポイント

「そんな条件の土地は無い」と追客を止めていては、受注の機会を逃してしまいます。
切り捨てずに住まいづくりを前進させるポイントは下記の通りです。

ご要望を徹底的にお聴きする

「希望のエリアに土地を買いたい」という想いが強い場合、「そのエリアは土地が出にくい地区なので、もっと地区を拡大してもらえませんか」と言われると、お客様は気分を害されますので、どんなご要望でも、まずは、徹底的にお聴きし、可能な限りその理由もお聴きします。
例えば、お子様の入学前には家を建てたいお客様は、おそらく学区の希望があると思います。このようなお客様には、なぜその学区をご希望なのか(ex.評判が良い学校がある、サポートしてくれるご両親の家がある、職場がその学区にあるなど)をお聴きすることがポイントです。
そして、この辺りまでの範囲ならOKという土地の許容範囲もお聴きします。
そして、「厳しい条件の土地探しですが、可能な限り調べますので1週間お時間をいただけますか」とお伝えし、○○地区辺りまではOKというエリアの最大許容範囲もご指定いただき理由もお聴きします。

お客様は何を手に入れたいのかの把握と共有

土地選択は住まいづくりの一つの要素であって、全てではありません。
したがって、今後数十年の人生の時間が「幸せになる住まいづくり」であるべきことをお客様にご理解いただきます。
新しい住まいで、どんな心豊かになる暮らしがしたいのかもお聴きすることがポイントです。
この「心豊かになる暮らし」を中心に、土地の条件が厳しくても住宅という建物である程度カバー可能であり、土地探しは、土地単独で考えるのではなく、住まいづくりという総合的な視点を持つことが大切です。
この時注意したいのは、「土地が決まってから!」と土地に意識が向いているお客様に「心豊かな暮らしは?」とお聴きしても「今はそれより土地!」という意識ですので、土地のご希望を総てお聞きしてから「心豊かな暮らし」の話を切り出します。

参考記事
最強の住宅営業になる条件は「お客様の暮らしを中心に考える視点」を持つこと

提示時期

初回面談でMax資金計画が共有されており、土地建物予算バランスが適切であれば、初回面談から1週間後に土地探しの対象エリアの地図に提示する土地プロットしてお持ちします。
人は1週間前のことはほとんど忘れてしまいますので、初回面談から1週間後に土地情報を提示します。

資金的に厳しい場合は、お客様とも協議の上、銀行融資、ご両親からの援助等を確定させてから提示することになります。

提示のしかた

いくつかの土地を絞り込んで面積、地形、方位等の基礎情報、夜間の周辺道路の明るさ、近隣の住人の層、降雨時の周辺の土地や道路の排水、眺望、採光、夏と冬の風の道等、建築時の資材の搬入経路、段差の解消の有無なども併せて提示します。
そして、「心豊かになる暮らし」視点の提示もします。
例えば、変形土地の場合には、「地形が悪く見えても、お子様が道路に飛び出す心配がない庭が取れ、楽しく外遊びができ、しかも安心」などの「お客様の暮らしを中心」視点で提示することがポイントです。

まとめ

土地探しから始めるお客様には、土地条件に囚われ過ぎると、膠着状態になり受注に向かいません。
土地探しを早期に解決するためには、「心豊かな暮らし」視点での土地探しの目を持っていただくことがポイントです。

ハウジングラボでは、お客様の「納得」と「満足」を高めて最短6週間で受注を獲得する住宅営業手法をご用意しています。新人でも短期間で修得可能な「いい暮らし実現営業」、他社従来営業とは大きく差別化した“この家が欲しい”を引き出すコミュニケーションができる「気づき共感営業」、ハイエンド層のお客様に対応可能な「暮らし触発営業」などです。また、住宅事業を安定継続/発展するための、「商品」「商品開発」「集客・マーケティング」「営業」「設計」「マネージメント」の分野からアプローチする注文住宅事業の「総合ビルドアップサポート」やコンパクトな工務店様・住宅会社様の住宅事業をサポートする「お役立ちLabo」をご用意しています。

是非ご活用ください。

■住宅コンサルティング
https://www.housing-labo.com/consulting
■住宅営業/マネージメント/住宅設計研修
https://www.housing-labo.com/training
■住宅営業ゼミ
https://www.housing-labo.com/onlinesupport

《執筆者》
株式会社ハウジングラボ
営業企画課長 眞田 智子

関連記事

最強の住宅営業になる条件は「お客様の暮らしを中心に考える視点」を持つこと

ウッドショックから始まった住宅関連資材の価格高騰に加え、世界的なインフレの影響でエネルギーや食品なども含む日本の消費者物価指数がとうとう3%を突破し、家計への影響は大きくなっています。このような状況下では、家計の出費を抑 […]

家を所有することの目的が変化している

一戸建住宅を持つことそのものが人生の大きな目標になっていた時代から、居住形態の多様化で都市生活を楽しむマンション生活、この暮らしが良いと生涯都心に住み続けるなら分譲マンションで。一方、やがて齢をとったら都心の生活をやめて […]

住宅の価格アップ時代には「気づき共感営業」が強力な武器になる

住宅業界は30年振りの価格アップ時代に突入しました。「超低金利デフレ時代」が続きましたが、外的要因によって資源/資材のインフレへと急速に転じています。住宅価格アップ時代に適応させ、住宅事業を発展させる方策がこの春からは必 […]

土地さえ決まれば住宅を受注できる!?

住宅営業からよく聴く話です。超低金利のデフレが長期に亘り、さらにローコスト住宅全盛期と相まって、「アパート代で土地付き一戸建てが買える」というのは地方では当たり前のキャッチフレーズになりました。都市部ではコロナ禍で同じ金 […]

新着記事

【工務店・住宅会社のSNS集客のコツ】必要なのは、たった1つの要素

住宅建築適齢期の20~40代は、SNS世代です。利用されているSNSは、Instagram、Twitter、LINE、YouTube、TikTokなど多数存在し、住宅展示場や完成住宅見学会や相談会などへの集客には、SNS […]

ハウスメーカー・住宅会社・工務店集客数減少 → 受注棟数減少の解決策

住宅展示場協議会と住宅生産振興財団が発表した2024年2月の住宅展示場の来場者組数は、対前年同月比2.7%増の24万9423組とのことです。2024年1月の減少から増加へと転じましたが、様々な理由で、従来通りの集客数は見 […]

【住宅営業のコツ】値引きせずに新築住宅を受注するコツ

お客様から値引きを匂わされたら応じなければならないと思っていませんか。値引きしなくても受注出来る住宅営業のポイントをお伝えします。 「お客様の予算枠に金額を合せないと受注できない」「失注するくらいなら、多少値引きしてでも […]

初回プラン提示でお客様の納得を得るプレゼンテーション―②

初回のプラン提示でお客様にご納得いただく為のプレゼンテーションについて、前回は、何故お客様に初回のプラン提示でのプレゼンテーションがご納得いただきにくいのかについてと、お客様に伝わりやすいプレゼンテーション資料の見え方に […]

受注歩留まり率を高める住宅営業とは

「なかなか受注ができない」と日々あの手この手と対策を考えながら営業活動をしているかと思います。数多くのお客様に営業活動をして、その中から反応の良いお客様の受注を目指すのは、人口減少の時代には厳しい方法です。また、エンドユ […]

住宅営業の初回接客品質向上のポイント

住宅展示場や完成住まいの見学会などでの初回接客は、受注成否の80%に影響すると言われるほど重要です。住宅は、高額商品なため購入するかどうかの決定には慎重になるのが当然なうえ、物価上昇率に給与所得の上昇率が追いついていない […]