注文住宅を受注できない原因
2023/05/12
「お客様のご要望通りのプランと価格なのに受注できない」
「他社には負けない良い住宅なのに価値をわかってもらえず受注にいたらない」
など、住宅営業の受注に関するお悩みは多々あると思います。
今回は、なぜ受注できないのか、その原因を考えてみます。
Contents
お客様の思考・言動の変化を見逃している
お客様も住宅営業担当者も気づかないうちに、思考や言動が変化しています。
ある調査では、2000年代に成人を迎えたミレニアル世代の資産運用の目的が、老後資金のため(1位:50%)に対し、住宅購入資金のため(8位:10%)と、住宅購入に対する意識の低さが顕著になっています。
「欲しい」の判断基準の変化
内閣府の日本人の購買判断基準に関する調査では、1980年前後を境に「モノの豊かさ」から「心の豊かさ」が上回り、現在では、「心の豊かさ」が2倍ほどになっています。
ずいぶん前から「モノからコトへ」と言われていますが、住宅業界は「モノの豊かさ」に偏重しています。
モノ(住宅というハコ)で優位性を得ようとしても、そもそも、お客様がモノに対して大きな関心を示さない現在、モノ偏重の営業は改めるべきです。
部屋の使われ方の変化
例えばリビングですが、かつては家族全員でテレビを見たり、お子様と一緒にゲームを楽しんだりと家族団らんの場としての位置づけは不動でしたが、現在は、家族全員が集まり、テレビはついているけれど、「誰かとアプリでコミュニケーション」「スマホでゲーム」「スマホで動画」など、それぞれが好きなことをしている場となっており、コミュニケーションを主とする場とはなっていません。
「家族と過ごす広いリビングが欲しい」とおっしゃるお客様が多いのも事実ですが、お客様ご自身も実は気づいていないこうした暮らし方の変化をご理解いただく対応が必要です。
住宅営業の対応がお客様にマッチしていない
「性能基準を満たした住宅が良い住宅」であるなどのハード面の認識は、お客様にとって「良い住宅」であるとは限りません。しかしながら、多くの工務店/住宅会社の住宅営業担当者は、モノとして一定の品質を満たしていれば良い住宅であるという想いが当たり前のこととしての意識が強く、現在のお客様が「良い住宅」と思う住宅とは乖離しています。
対立軸を作っている
お客様が来場されると、多くの住宅営業担当者は自社住宅の説明をして、資金や土地の有無を聞き出そうと頑張り、お客様が話したいことを聴くことが疎かになっている傾向があります。
住宅営業担当者の自覚がなくても、お客様の不満の約6割は「自分の話を聴いてくれない」「相談したかったのだが・・・」という内容です。
「自分の想いを聴いて欲しいお客様」に「自社住宅の説明をしたい住宅営業」が「対立軸」を生み出しているのが受注を遠ざけている原因のひとつです。
表面的なご要望対応になっている
お客様が、収納を充実させたい、広いリビングが欲しい、部屋数が足りないなどのご要望をおっしゃたとして、「こことここに収納を作りましょう」「リビングは何帖欲しいですか?」「ご希望の部屋数は?」など、御用聞きのような対応は、初期段階ではお客様も喜んでいただけるとは思いますが、他社と比較したり様々検討していくと、「こうしたい、ああしたい」が出てきて何度もプラン変更後に「同じ値段でA社の方が広いから」などの理由で失注することもあります。
お客様のご要望の背景にある「欲しい理由」をお聴きしていないことが原因です。
「受注できない」の解決方法
モノとしての住宅の良し悪しでは「欲しい」という気持ちにはなっていただけないため、住宅によって得られる「コト」で営業することをおすすめします。
すべて受け入れる
SNSの画像で「これ出来ますか?」、「このプランで1500万円で出来ますか?」などに対して、「出来るわけないんだけどなぁ」というような雰囲気を発して静かな衝突が発生し、「何とか濁して自社住宅の説明に持っていく」のは、お客様にとっては「話を聞いてくれない信頼できない営業」として「この会社は無し」という結論にいたります。
お客様がおっしゃることを受け容れて想いや条件などをお聴きすることから始めます。
「受容れるが言いなりにならず、お客様が幸せに暮らせる住まいづくり」となる対応を目指します。
コトを聴く
お客様が心豊かになる「コト」は多種多様です。
ご家族それぞれの興味関心事をお聴きし、深く堀り下げていきます。
例えば、お父さんとお子様が一緒に考えながら勉強している画像、お母さんとお子様がクッキーをを作っている画像などをお見せして、「お客様だったらどのように楽しみたいですか?」という、お客様ご自身も気づいていない部分の気づいていただけるように刺激しながらお客様のコトを理解していきます。
まとめ
受注出来ない大きな原因として、お客様の変化に合わせた営業が出来ていないことが挙げられます。コト営業と言われるように、注文住宅業界でもコト営業を本格的に行わないと、受注獲得が難しい時代です。
お客様の納得と満足を得て選んでいただくために、お客様を受け容れ、興味関心事を深く掘り下げていくことをおすすめします。
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《執筆者》
株式会社ハウジングラボ
営業企画課長 眞田 智子