注文住宅を受注できない原因

「お客様のご要望通りのプランと価格なのに受注できない」
「他社には負けない良い住宅なのに価値をわかってもらえず受注にいたらない」

など、住宅営業の受注に関するお悩みは多々あると思います。
今回は、なぜ受注できないのか、その原因を考えてみます。

お客様の思考・言動の変化を見逃している

お客様も住宅営業担当者も気づかないうちに、思考や言動が変化しています。
ある調査では、2000年代に成人を迎えたミレニアル世代の資産運用の目的が、老後資金のため(1位:50%)に対し、住宅購入資金のため(8位:10%)と、住宅購入に対する意識の低さが顕著になっています。

「欲しい」の判断基準の変化

内閣府の日本人の購買判断基準に関する調査では、1980年前後を境に「モノの豊かさ」から「心の豊かさ」が上回り、現在では、「心の豊かさ」が2倍ほどになっています。
ずいぶん前から「モノからコトへ」と言われていますが、住宅業界は「モノの豊かさ」に偏重しています。
モノ(住宅というハコ)で優位性を得ようとしても、そもそも、お客様がモノに対して大きな関心を示さない現在、モノ偏重の営業は改めるべきです。

部屋の使われ方の変化

例えばリビングですが、かつては家族全員でテレビを見たり、お子様と一緒にゲームを楽しんだりと家族団らんの場としての位置づけは不動でしたが、現在は、家族全員が集まり、テレビはついているけれど、「誰かとアプリでコミュニケーション」「スマホでゲーム」「スマホで動画」など、それぞれが好きなことをしている場となっており、コミュニケーションを主とする場とはなっていません。
「家族と過ごす広いリビングが欲しい」とおっしゃるお客様が多いのも事実ですが、お客様ご自身も実は気づいていないこうした暮らし方の変化をご理解いただく対応が必要です。

住宅営業の対応がお客様にマッチしていない

「性能基準を満たした住宅が良い住宅」であるなどのハード面の認識は、お客様にとって「良い住宅」であるとは限りません。しかしながら、多くの工務店/住宅会社の住宅営業担当者は、モノとして一定の品質を満たしていれば良い住宅であるという想いが当たり前のこととしての意識が強く、現在のお客様が「良い住宅」と思う住宅とは乖離しています。

対立軸を作っている

お客様が来場されると、多くの住宅営業担当者は自社住宅の説明をして、資金や土地の有無を聞き出そうと頑張り、お客様が話したいことを聴くことが疎かになっている傾向があります。
住宅営業担当者の自覚がなくても、お客様の不満の約6割は「自分の話を聴いてくれない」「相談したかったのだが・・・」という内容です。

「自分の想いを聴いて欲しいお客様」に「自社住宅の説明をしたい住宅営業」が「対立軸」を生み出しているのが受注を遠ざけている原因のひとつです。

表面的なご要望対応になっている

お客様が、収納を充実させたい、広いリビングが欲しい、部屋数が足りないなどのご要望をおっしゃたとして、「こことここに収納を作りましょう」「リビングは何帖欲しいですか?」「ご希望の部屋数は?」など、御用聞きのような対応は、初期段階ではお客様も喜んでいただけるとは思いますが、他社と比較したり様々検討していくと、「こうしたい、ああしたい」が出てきて何度もプラン変更後に「同じ値段でA社の方が広いから」などの理由で失注することもあります。

お客様のご要望の背景にある「欲しい理由」をお聴きしていないことが原因です。

「受注できない」の解決方法

モノとしての住宅の良し悪しでは「欲しい」という気持ちにはなっていただけないため、住宅によって得られる「コト」で営業することをおすすめします。

すべて受け入れる

SNSの画像で「これ出来ますか?」、「このプランで1500万円で出来ますか?」などに対して、「出来るわけないんだけどなぁ」というような雰囲気を発して静かな衝突が発生し、「何とか濁して自社住宅の説明に持っていく」のは、お客様にとっては「話を聞いてくれない信頼できない営業」として「この会社は無し」という結論にいたります。

お客様がおっしゃることを受け容れて想いや条件などをお聴きすることから始めます。
「受容れるが言いなりにならず、お客様が幸せに暮らせる住まいづくり」となる対応を目指します。

コトを聴く

お客様が心豊かになる「コト」は多種多様です。
ご家族それぞれの興味関心事をお聴きし、深く堀り下げていきます。
例えば、お父さんとお子様が一緒に考えながら勉強している画像、お母さんとお子様がクッキーをを作っている画像などをお見せして、「お客様だったらどのように楽しみたいですか?」という、お客様ご自身も気づいていない部分の気づいていただけるように刺激しながらお客様のコトを理解していきます。

まとめ

受注出来ない大きな原因として、お客様の変化に合わせた営業が出来ていないことが挙げられます。コト営業と言われるように、注文住宅業界でもコト営業を本格的に行わないと、受注獲得が難しい時代です。
お客様の納得と満足を得て選んでいただくために、お客様を受け容れ、興味関心事を深く掘り下げていくことをおすすめします。

ハウジングラボでは、お客様の「納得」と「満足」を高めて最短6週間で受注を獲得する住宅営業手法をご用意しています。新人でも短期間で修得可能な「いい暮らし実現営業」、他社従来営業とは大きく差別化した“この家が欲しい”を引き出すコミュニケーションができる「気づき共感営業」、ハイエンド層のお客様に対応可能な「暮らし触発営業」などです。また、住宅事業を安定継続/発展するための、「商品」「商品開発」「集客・マーケティング」「営業」「設計」「マネージメント」の分野からアプローチする注文住宅事業の「総合ビルドアップサポート」やコンパクトな工務店様・住宅会社様の住宅事業をサポートする「住宅営業ゼミ」をご用意しています。

是非ご活用ください。

■住宅コンサルティング
https://www.housing-labo.com/consulting
■住宅営業/マネージメント/住宅設計研修
https://www.housing-labo.com/training
■住宅営業ゼミ
https://www.housing-labo.com/onlinesupport

《執筆者》
株式会社ハウジングラボ
営業企画課長 眞田 智子

関連記事

「良い住宅なのに売れない」の解決策

「お客様の予算に合わせたプランでは納得してもらえないし、ご要望通りのプランだと高くなりすぎて失注する」、「良い住宅だからこその価格であることを理解していただけず、価格で他社に負ける」「暮らしやすい住宅なのに『検討します』 […]

「強い営業」より「伝わる営業」が受注できる

「一戸建て住宅を所有することが目的」であった時代から、現在は、「自分が住む住宅で楽しく暮らすことが目的」へと変化しています。こうしたお客様の思考や行動の変化に伴い、「お客様を引っ張り、時には多少の強引さを持つ強い営業」「 […]

『安ければ売れる』、『付加価値があれば高くても売れる』という考えは、どちらも受注が難しい時代

住宅営業にとって自社住宅の価格や付加価値は確かに受注状況に大きく影響します。従来の「他社より価格が『安ければ売れる』」や「他社より価格は多少高いけれど自社住宅は差別化できる『付加価値を持っているので売れる』」という考えだ […]

「モノからコトへ」の住宅事業の新スタイル

景気は回復基調にありますが、目の前の集客が少ないとか、建設資材は上がり続けるとか、明暗が混ざった昨今の市況環境です。もう少し全体を俯瞰して考えてみると、自動車産業と同じように住宅産業も100年に一度の大変革期に差し掛かっ […]

「暮らし視点の住宅営業」は、大きな他社差別化になる!

今後の住宅市場は外形として捉えれば建築適齢期の人口減が進み、一方で空き家率は13.6%もあるという市場です。需要漸減化の「モノ」が余っている市場で「対価」を支払うだけの「魅力ある住宅」をお届けできるのかという課題が、住宅 […]

新着記事

新しい「中級住宅」の定義と現状認識

かつては、多くの家庭が手の届く価格で、ある程度の性能やデザイン性、暮らしやすさを兼ね備えた「ちょうどいい住宅」として捉えられていた中級住宅ですが、今はその基準が崩れつつあります。 経済状況の変化、ライフスタイルの多様化、 […]

【2025年住宅市場】60歳代に目を向ける注文住宅事業

現在の新築住宅市場において、中心となる顧客層は30〜40歳代のファミリー層です。特に35歳前後の世帯が主なターゲットとなっており、結婚し、子育てを始めるタイミングで住宅を取得するケースが一般的です。しかしながら、日本の人 […]

住宅事業の集客革新!|令和の集客方法を、考え方から新しいアイデア、イベント活用事例まで徹底解説

住宅業界の集客において、従来の手法では限界が見え始めています。多くの住宅会社や工務店が住宅性能や間取りを中心に訴求していますが、お客様にとってはどれも似たように映りがちです。これからの住宅事業での集客では、新しいアイデア […]

【2025年住宅市場】城南地区から横浜/湘南方面エリアで住宅事業成功を掴むには

現代の住宅市場においては、単なる「住むための家」ではなく、「心豊かな暮らし」を実現する住まいが求められています。特に、東京の城南地区(品川区・目黒区・大田区・世田谷区・渋谷区・港区)から横浜/湘南方面にかけてのエリアでは […]

住宅会社の未来を切り拓く「集客と受注」戦略——市場変化に適応するために

近年、住宅業界はかつてないほどの変革期を迎えています。従来の集客戦略や営業手法では通用しなくなり、住宅会社や工務店は、新たな時代に適応するための「集客と受注」の再構築が求められています。 人口減少や少子高齢化、ライフスタ […]

新築同等以上のフルリフォーム事業成功のポイント-③

今回は、従来のリフォームのような小規模な案件が多い、一般的なリフォーム事業ではなく、新築するのと同等か、それ以上のメリットをお客様に提供する「フルリフォーム事業」成功のポイント③として、フルリフォーム事業の営業について考 […]