価格で判断されない住宅営業とは

インフレによる物価上昇率に給与所得の上昇率が追い付いていないことに加え、住宅ローン金利の上昇の影響で、住宅購入を検討されているお客様の価格に対する意識がより一層シビアになることが予想されます。このような環境下でも「他社の方が価格が安いから」という理由で失注することを防ぐ住宅営業について考えてみます。

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「高い」から売れないのか?

良い住宅だからこその価格なのに「高い」と受け取られてしまう・・・など、自社住宅の価値をご理解いただけずに失注してしまう住宅営業をお見かけします。「高い」と認識されてしまう原因は何なのでしょうか。

価格で住宅を選ぶ心理

「住宅」が「モノ」としての認識のままだと価格が安い方を選ぶのがお客様です。
これはどういうことかというと、「こういう機能がついていて○○○円ならこれでいいかな」や「この仕様でこの値段は高いと思うから、これは止めよう」などといった判断のしかたです。この判断基準の根底にあるのが、「モノとして大差ないなら、予算内に収められるモノの中から自分が納得できるモノを選ぶ」ということです。モノが良いだけでは売れない現在は、購入の判断基準が「モノを手に入れることによって何を得られるのか」という「コト」を重視しており、さらに、低価格帯住宅と中高級価格帯住宅の違いが「価格以外では見えにくい」ため、価格が判断基準になっているとも言えます。

参考記事:中高級住宅は、お客様中心の「時間の質」向上ビジネスへ

価格判断に誘導してしまっているのが住宅営業

住宅展示場や完成住まいの見学会などでお客様をご案内する際に、住宅営業担当者が説明する自社住宅の特徴は、安心/安全/快適を叶える住宅性能、生活利便性を考えたプラン、良いデザイン、良い設備や部材などをメインにして一生懸命説明されています。実は、この説明こそが「価格判断」させてしまっているのです。

例えば、「無垢材/天然素材の心地良さ」を訴求した場合、木が持つ「やさしさ」「暖かさ」「自然」といったイメージは届けられますが、多くの低価格帯住宅と中高級価格帯住宅の会社は概ね同じ内容の訴求をしていますので、お客様にとっては「大差なく」伝わっているのが現実です。「床板の厚さが他社とは違う」などの違いは、お客様にとっては「大きな違い」ではなく、「同じ天然素材を使っていて厚さが違うだけ」という認識です。

価値観に焦点を当てた売り方をする

お客様は自覚なさっていませんが、価格に対してどのような満足が得られるかで購入を判断されます。例えば、「タコ焼き器を買ったら、友人たちと楽しくタコパ―できる!」という理由でタコ焼き器を購入する、といったことです。住宅でも同じことで、一般に「良い住宅と言われる家」、「良い品質の部材を使った家」、「上位グレードの設備を使用した家」というような「モノの良し悪し」では「欲しい」という気持ちにはなっていただけず、住宅によって「どんなことを体験・経験できるのか」という「コト」に住宅購買意欲をくすぐられるのです。

個別解で対応する

お客様が満足される「コト」は多種多様です。ご家族内でもご主人様、奥様、お子様でも、それぞれ興味関心の対象は異なりますので、個々の「満足」に対応していくことが大切なポイントです。

ご家族それぞれの興味関心事をお聴きし、深堀していきます。住宅展示場や完成住まいの見学会で、実際にどの部屋でどのように「コト」をされているのか再現していただきます。その際には、どのくらいの広さが必要か、明るさはどうしたいか、道具は必要か、どこに収納するのかなどもお聴きしながら楽しく過ごすための住まいづくりの具体化を進めます。

まとめ

住宅購入を検討されているお客様の価格に対する意識がより一層シビアになることが予想される中、良い住宅を「高い」と認識されずに適正価格で受注するためには、「住宅」を「モノ」ではなく「コトの場」として認識していただく住宅営業を進めることをおすすめします。住宅によって「どんなことを体験・経験できるのか」という「コト」で住宅購買意欲をくすぐり、ご家族それぞれの「コト」実現のために最適な情報提供です。

ハウジングラボでは、お客様の「納得」と「満足」を高めて受注を獲得する住宅営業手法をご用意しています。新人でも短期間で修得可能な「いい暮らし実現営業」、他社従来営業とは大きく差別化した“この家が欲しい”を引き出すコミュニケーションができる「気づき共感営業」、ハイエンド層のお客様に対応可能な「暮らし触発営業」などす。他にも、住宅事業を安定継続/発展するための、「商品」「商品開発」「集客・マーケティング」「営業」「設計」「マネージメント」の分野からアプローチする注文住宅事業の「総合ビルドアップサポート」をご用意しています。
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《執筆者》
株式会社ハウジングラボ
営業企画課長 眞田 智子

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