お金の不安を払拭できるかが住宅営業の分かれ道

建築適齢期である20~40代のお客様は好景気を知らない世代であり、給与所得が物価高に追い付いていないという先行き不安もあり、老後の「お金」に対して堅実傾向があります。20代から「今から備えたい」という意識を持たれている方も多くいらっしゃいます。
今回は、「老後に備えたいからできるだけ安く、老後でも安心して暮らせる家が欲しい」などの、お金も住宅も堅実なお客様の不安を払拭する住宅営業について考えてみます。

老後資金に不安を感じ、対策している20代、30代が多数

物価高が老後の不安に影響し、自分の貯蓄状況について「不安」と感じている20代、30代の人が約80%存在しています。
まだ給与所得がそれほど高くないため貯蓄できず、将来においても大幅な給与所得アップが実現するとは思えない、また、年金の金額も少なく老後の生活が厳しくなると予想しているため、老後資金が心配になっているのかもしれません。
25歳と35歳の人を対象にした、お金の不安を感じ始めた年齢に関する調査では、25歳の人は22.7歳の時、35歳の人は27.8歳の時と、いずれも20代でお金の不安を感じ始めているという結果もあります。(松井証券株式会社調べ)

所有するお金を増やす対策が「普通のこと」になっている

お金に関する不安を裏付けるように、20代の社会人に「昇給した分を何に使いたいですか?」という質問に対しては、「貯金」と答える人が半数を超えています。
また、「貯金」する人は約75%、「投資」をする人は約20%、投資をしない理由は「元本割れが嫌」が約30%という確実にお金を増やすという堅実性が現れています。

20代夫婦で老後を考えた住まいづくりを希望するお客様も存在する

「今は夫婦2人だが、これから子供を持つ予定。老後に安心安全に暮らせる家を建てたい。」という20代のお客様をご案内したことはありませんか?
このようなお客様は、上述した「老後の不安」が起因した住まいへのご要望です。
人生一度きりの家を建てるなら、一生安心安全に暮らせるようにしたらコスパが良いとお考えなのかもしれません。

老後が安心の住まいは幸せなのか

20代で家を建てるとして、その後、60~70年過ごす家を「老後」にだけ着目していて、その家族は幸せに暮らせるのでしょうか。
確かに、「安心」は得られますが、それは約40年先の「安心」です。
その間の、夫婦2人時期、出産期、お子様の乳幼児期/学童期/思春期/進学/就職/結婚、2度目の夫婦2人期など、訪れるであろうライフステージのことが抜け落ちています。
この部分の充実した暮らしを考えていただかなければ、幸せとは言えないのではないでしょうか。

お客様の幸せを触発する

将来への不安から家計の出費を抑える傾向が強まってはいますが、

・高ければ良い、安ければ良いという価格で決めない
・モノによってどんなコトが出来るのか、コトのためにどんなモノが必要なのか

がお客様の購買基準で、コトが満足すると経済面などへの不安があっても手に入れようとします。
20代後半~40代前半の住宅建築適齢期の方々は、コストパフォーマンスを重視し、モノへの執着が薄くコト重視の価値観を持ち、自分らしさを大切にしていますので、「家で出来る楽しいコト」のアプローチが効果的です。

「家族の楽しいコト」で触発する

例えば、ご主人様も奥様も料理をされるご家族の場合、アイランド型キッチンにすると、ご夫婦一緒に料理を楽しめる、お子様が成長したらパパママと一緒に料理を楽しめ、楽しいコミュニケーションが交わせるキッチンになる、というような具体的な例をお伝えすると、未来の「楽しいコミュニケーションの場としてのキッチン」への期待が高まります。

「コト」の触発のポイント

人の情報吸収量は、視覚情報が80%以上を占めていると言われていますので、お客様への「家で出来る楽しいコト」を触発する際には、言葉や文字よりも「パッと見てわかる」、「いいなと感じる」画像や動画を中心にした資料をお見せすることをおすすめします。

「モノ」の訴求は効果が無い

将来の不安を抱え、購買基準が「コト」であるお客様に、「断熱等級7なので、これからの冬の季節でも暖かい家です」と伝えても、他社と比較され、同等の性能なら安い方を選ばれますし、性能が低くても安い方を選ばれるかもしれません。
「モノ」提案の限界です。

まとめ

先行き不安の社会情勢では、「住宅はなるべく低価格で」と考えるお客様が増加しますが、お金の不安を上回る自社住宅での幸せな「コト」で住宅購買意欲を触発し、「この家が欲しい」を引き出すことが受注につなげる大切なポイントです。

ハウジングラボでは、お客様の「納得」と「満足」を高めて標準6週間で受注を獲得する、スピード感のある住宅営業手法をご用意しています。
自社特徴の好印象化で「いいね」を積み重ねる住宅営業手法をもとに、住宅事業の安定経営をサポートします。
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是非ご活用ください。

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《執筆者》
株式会社ハウジングラボ
営業企画課長 眞田 智子

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