プランヒアリングが苦手な住宅設計者がやるべき2つのコト

住宅コンサルティングをしている際、プランヒアリングがどうしても苦手だという住宅設計担当者の相談を受けることがあります。
なぜプランヒアリングが上手くいかないかの原因と解決策について考えていきましょう。

Contents

プランヒアリングが苦手な住宅設計担当者が陥るヒアリング

プランヒアリングでお客様のご要望をお聞きしていくと、お客様がその時に関心をお持ちの断片的で様々な情報や、以前お聞きした時とは違うご要望だったりと、まとまらない場合があります。
どこにどれくらいの大きさが必要なのかお聞きたいけれど、どこも大きい方がいいなど、全てのご要望にお応えすることが難しいこともあります。
また、ヒアリングで聞いたこととお客様の思っていることが上手く合致しておらず、プラン提案時にお客様から思っていたのと何か違うと言われてしまうことも。
これらは、お客様ご自身の要望がまとまっていないことと、お客様とヒアリングした住宅設計担当者との認識のズレが原因です。

お客様のご要望を上手くまとめるポイント

お客様ご自身が決めきれていないご要望を引き出し、「ここだけは実現したい」という優先順位を決めていただくと、お客様のご要望を上手くまとめることが可能になります。お客様のプランのツボを押さえるプランヒアリングが必要です。

24時間生活タイムスケジュール

お客様のご要望の整理をしていくのに役立つのが、お客様のご家族それぞれの現状の生活タイムスケジュールをヒアリング前に書いていただくことです。

これがあると、ヒアリング時に質問のきっかけとして使え、お客様の現在の生活の中での不満や改善ポイントを整理しやすくなります。
お客様ご自身も自身や家族それぞれの生活を再確認でき、要望がまとまりやすくなります。

ヒアリング時の質問の起点となり、要望の整理に活躍しますので、プランヒアリングが苦手な方はまずお客様の24時生活タイムスケジュール表を事前に書いていただきましょう。

自宅写真を撮っていただく

お客様からお聞きしたご要望と、こちらが理解していることとのズレを無くすのに最適なのが、お客様の現状のお住いの写真を撮っていただくことです。

例えば、お客様が「キッチンはモノが溢れて大変なので、収納できるようにしたい」とおっしゃられている時に、左の写真を見ればどの程度のものが溢れているのかが共有でき、それをどこにどうやって収納したいと考えておられるのかをお聞きすることができます。

ヒアリング時にお客様に現状のお住いの写真を撮り、お客様の持ち物や生活実態を正確に把握することができれば、お客様の要望の中身を正確に把握することができます。

まとめ

プランヒアリングを苦手とされている方の上手くいかない原因のほとんどは、お客様のご要望の整理が上手く出来ていないことと、お客様のご要望とプランヒアリングされる方との認識のズレにあります。
この2つの問題はプランヒアリングの事前準備として、お客様に生活タイムスケジュール表と現状のお住いの写真を撮っていただくことで解決することが可能です。
何度もプランを修正して徐々に整理していくこともできますが、お客様と住宅設計担当者、両者の労力と時間がかかってしまいます。
スムーズなプランヒアリングとプラン提案の為に2つの事前準備を是非試してみてください。

《執筆者》
株式会社ハウジングラボ
代表取締役社長 松尾俊朗
一級建築士

関連記事

住宅設計の打ち合せは、1/100の図面より実物空間の方が効果大

住宅設計者は、まず基本計画として1/100の図面で全体プランをまとめると思います。この図面を用いて、お客様とのお打ち合わせは、実際にはお客様にどの程度伝わったのかというと、ほとんど伝わっていないというのが実際のようです。 […]

住宅設計トレンド フリースペース需要の増加を見逃さない!

コロナウィルス感染拡大の影響で自宅のフリースペース需要が増加しています。 テレワークの場所が必要になったということ以外でも、習い事をオンラインレッスンで受講したり、自宅にいる時間が長くなったことにより運動不足解消のために […]

諦めない住宅設計の姿勢が求められている

住宅設計は建築設計デザインを目指した人が最初に取り組むジャンルの設計ですが、設計者として最後まで納得がいかず生涯チャレンジし続けるジャンルともいわれるほど建築設計の中でも最も難しい設計と言われています。敷地条件や法規制、 […]

新着記事

集客難を乗り切る発想の転換

建築適齢期の20~40代の人口の漸減が避けられない状況です。居住する形態の選択肢も多数存在し、お客様の所得も大きく伸びない環境では、新規来場の集客の減少が避けられません。今回は、集客に対する発想を転換して集客数が減少して […]

集客の量が無くても質があれば集客難が解決する

SNS広告を打つ、ポスティングするなどの新規来場者獲得のための様々な施策をとっても、来場者数が増えない、または減少しているなどの集客難は、多少の増減があっても常態化しています。今回は、「より多くのお客様を集める」という従 […]

「消費」から「投資」への意識変化が受注へのカギ

「建設資材価格が2カ月連続下落」と経済調査会から発表されました。とはいえ、数年前に比べ住宅の価格が数段アップしている現在、コストダウンなどの企業努力だけでは対応しきれない状況です。この難局を乗り切り、注文住宅事業を安定継 […]

「考える営業」で全てのお客様を受注する

30年ぶりの住宅価格上昇局面を迎え、住宅営業の役割がより重要になってきています。住宅の予算に、今までよりもシビアになっているお客様に、従来通りの営業の進め方は通用しません。今回は、戦略を考える、プランを考えるなど、様々あ […]

注文住宅を受注できない原因

「お客様のご要望通りのプランと価格なのに受注できない」「他社には負けない良い住宅なのに価値をわかってもらえず受注にいたらない」 など、住宅営業の受注に関するお悩みは多々あると思います。今回は、なぜ受注できないのか、その原 […]

土地なし客への対応方法

「希望の条件を満たす土地が見つからないので住まいづくりが進まない」などの、土地探しから始めるお客様への対応に難しさを感じている住宅営業の方は多いと思います。お客様も住宅営業担当者も、土地探しには、エリアや大きさ、形状など […]